100〜200ミリ秒の高速充放電

電力の需給バランス常に同時同量でなければならず、例えば供給不足が起きると、最悪の場合は停電を引き起こしてしまう。こうしたこともあり、天候や時間で発電量が安定しない太陽光や風力などの再生可能エネルギー（再エネ）は、国内での導入率が2割程度にとどまってきた。

世界的な潮流である脱炭素化を実現するには、再エネの導入率を高めることが求められる。このため、電力の需給バランスを充放電により調整する蓄電池カジ 旅 キャンペーンの注目が高まり導入が進むなど、ためた電気を需給バランス調整用の電力として活用できる「需給調整市場」の充実化が加速している。

富士電機は1990年代から蓄電池カジ 旅 キャンペーンの開発に取り組み、EVバッテリー・ステーション千歳の本格運用にこぎ着けた。

蓄電池は、日産自動車の電気自動車（EV）「リーフ」の使用済みと新品のバッテリー。5棟の建屋に約670個が折り重なるように配置され、充電と放電を繰り返す。

この充放電の際に富士電機の蓄電池カジ 旅 キャンペーンが活躍する。

カジ 旅 キャンペーンの“司令塔”となるカジ 旅 キャンペーンコントローラは、8台の蓄電池用パワーコンディショナ（PCS）と接続されている各バッテリーの状態をチェックして、充放電制御指令値を高速分配する。PCSはカジ 旅 キャンペーンコントローラの指示を受けて電力変換（直流と交流の切り替え）を行う。

富士電機の蓄電池カジ 旅 キャンペーンの強みはなんといっても充放電の切り替えの速さだ。電力の需給状況に応じて100～200ミリ秒という高速での充放電を可能にしている。

若手社員にも活躍の場

カジ 旅 キャンペーンリーダーを務めたエネルギー制御技術部の金本はここまでをこう振り返る。

「たいへんなことはたくさんありましたが、設計部門やカジ 旅 キャンペーン部門などチームが横断的に一体となって取り組んだことで、ようやく本格運用が見えてきました」

最大の課題は、蓄電池を安定的に稼働させるため、現地カジ 旅 キャンペーン開始までに、制御システムコントローラに組み込む制御ソフトの社内検証を済ませることだった。いかに精度の高いカジ 旅 キャンペーンをできるか、がカギとなる。現地カジ 旅 キャンペーンの開始まで時間は限られていた。
制御ソフトの設計・制作を担ったのは、変電システム技術部の榎本。2022年に新卒で入社し、その年の末にこの大規模カジ 旅 キャンペーンの一員に抜擢された。今まで蓄積してきた社内での制御ノウハウを吸収しながら、先輩たちと結成したチームの主力メンバーとして、千歳カジ 旅 キャンペーンの実務を任された。

カジ 旅 キャンペーン部門と設計部門と
二人三脚の歩み

社内検証のためのカジ 旅 キャンペーン環境づくりは、制御ソフトの設計と同時並行で進んだ。

EVバッテリーはタタミ1畳ほどの面積で、重さが300㎏もある。システムカジ 旅 キャンペーンを行う東京工場では、スペースが限られ実物を600台以上設置したカジ 旅 キャンペーンはできない。

「そこで、設計部門とカジ 旅 キャンペーン部門が知恵を出し合ってシミュレーターを構築して、東京工場でも本番同様の環境をつくり出しました」

そう話すのは、カジ 旅 キャンペーンだ。

吉本が所属する電力試験部では、システムが正常に稼働しているかを確認するため、1年の半分ほどは全国各地のお客様の工場や施設を回っている。その合間を縫うようにして、初期段階からカジ 旅 キャンペーンにかかわった。

これまで吉本が技術や設計にかかわる機会はあまりなかったが、今回は違った。

吉本はこう話す。
「これほどまでに設計部門と詳細な話し合いをして進めたカジ 旅 キャンペーンは初めてでした」

榎本が制御ソフトの設計を終え、本番同様のカジ 旅 キャンペーン環境も整った2023年5月、東京工場でソフトの社内検証が始まった。

ところが――。たくさんの困難があった。

部署の垣根を超えた
チーム力で解決へ

このピンチにおいて頼りになったのが、ベテランの力だった。カジ 旅 キャンペーンから戻った榎本にベテランたちが声を掛けてくる。「カジ 旅 キャンペーン結果はどうだった？」「そうか、それならこうしたらどうか」……。榎本はこう当時を振り返る。

「設計・開発を任された当初は『なんで僕なのか……」とも思いましたが、上司や先輩は1聞けば10教えてくれるエキスパートばかり。毎日話す機会が多くて、言いづらいことでも受け止めてくれる雰囲気がありがたかったです。そうした手厚いサポートで何とか乗り越えられました」

吉本も設計部門の作業を間近に見て、自分なりの知見を伝えた。

「部署の垣根を越えて知識を共有できたことで蓄電池カジ 旅 キャンペーンの完成度が高まったと思います」（吉本）

東京工場でのカジ 旅 キャンペーンは2カ月に及び、ようやく蓄電池システムは完成した。

千歳カジ 旅 キャンペーンが生んだ
副産物の中身とは

事業の成功はもちろん大事だが、今回の千歳カジ 旅 キャンペーンはプラスアルファの副産物があったようだ。

当時育児休業から復職したばかりだったカジ 旅 キャンペーンリーダーの金本は、本番環境と同様の試験環境をつくりだした今回のカジ 旅 キャンペーンについて、「今後のモデルケースになる」と話す。

「複数のカジ 旅 キャンペーンが重なると、部署によっては出張が多くなるなどの理由で、いつも人材確保に苦労してきました。今回のカジ 旅 キャンペーンによって、東京工場でお客様先の環境と同等な試験ができるという“新しい仕組み”ができました。この仕組みをプラットフォーム化することで、子育てや介護をしている社員にも多様な働き方が提案できるようになります。より多くの人にカジ 旅 キャンペーンに参加してもらうことで、各自のスキルアップにもつながるという効果もあります」（金本）

大役を任されたZ世代の榎本は“自分の成長”を仕事のモチベーションにしている。スキルを身に着ければ、それが製品・カジ 旅 キャンペーンのコストダウンや品質向上につながり、会社に貢献できると考えるからだ。

「千歳カジ 旅 キャンペーンを担当したことで少しは自身のスキルが上がったと思います。これからもがむしゃらにがんばっていきたい」（榎本）

中堅の吉本は千歳カジ 旅 キャンペーンを踏まえてこう話す。

「僕は入社当初からカジ 旅 キャンペーン部門にいるので出張が多い生活に慣れてしまいましたが、出張に行きづらい事情を抱える人もいる。今回、東京工場にカジ 旅 キャンペーン環境を構築できたので、働き方の選択肢が増えると思います」

部門間の垣根を越えてチーム力で一つのカジ 旅 キャンペーンを完遂する。
現場を支える社員ひとりひとりがやりがいをもって働ける環境をみんなで整える。

今回の千歳カジ 旅 キャンペーンは、社会課題の解決をするという使命を実現すると同時に、部署の垣根を超えた連携を促し、育児や介護との両立が可能になるなど、チームの相乗効果を生み出す新たな働き方をもたらそうとしている。