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2017年秋、電気自動車業界に衝撃が走った。
新発売された米・テスラ車に組み込まれた駆動制御用のカジ 旅 出 金 条件半導体の素材が、従来のシリコン(Si)ではなく新素材・シリコンカーバイト(SiC)になったからだ。
2020年に入ると、海外に加え国内の自動車メーカーも電気自動車向けにSiCカジ 旅 出 金 条件半導体を採用し、SiC化の流れは一気に加速した。
富士電機はどう対応したのか――。
SiCはEVに
うってつけの素材だが…
SiCは、ケイ素(Si)と炭素(C)の化合物で、Siに比べて電力変換におけるエネルギー損失が少ないうえ、出力電流を高めることができる。低損失・高出力が求められる電気自動車向けカジ 旅 出 金 条件半導体にとって、SiCは以前からうってつけの素材と考えられてきた。
しかし、Siに比べて高価で素材としての欠陥率が高いことなどが要因で、各メーカーが採用に二の足を踏んでいた。
それでもテスラのSiC採用で、一気にSiCに注目が集まった。富士電機のSiC研究カジ 旅 出 金 条件部門には「より競争力があるものをいち早くつくる」というミッションが課せられた。
2010年に入社したプロセスカジ 旅 出 金 条件部の小島は入社当初からSiCのカジ 旅 出 金 条件に携わってきた。だからこそ、社内の誰よりこの素材の難しさを知る小島は、ミッション克服までの壁の厚さも理解していた。
予想もしない不具合が
あったチップ設計
小島とともにチップの設計を担当する森谷は、2016年から半導体のカジ 旅 出 金 条件に加わった。それまでは半導体とは無関係の研究だったが、「周囲の人たちが些細なことでも教えてくれるので、戸惑いはありませんでした」と話し、今はチームリーダーを任されている。
しかし、試作品カジ 旅 出 金 条件には苦戦した。
「構造のシミュレーションを重ねて最適に設計ができたと思っても、後から予想もしなかった不具合が出てきて焦りました」
小型化に苦労した
パッケージング
金属ワイヤの配線や樹脂による封止などを行うパッケージングのカジ 旅 出 金 条件を担当するのは、森谷と同期の齊藤。SiCにより、モジュールの小型化は期待できるが、小型化が進むと内部の電気配線が難しい。
「大きさだけでなく放熱性や信頼性の面でも、カジ 旅 出 金 条件モジュール(カジ 旅 出 金 条件半導体)ではチップとパッケージのバランスが重要です。パッケージでは対応できない点はチップ側で改善してもらうこともありました」
密なコミュニケーションが実を結び、2022年12月にSiCカジ 旅 出 金 条件半導体の新たな試作品が完成した。
半年で見積書6回の末に…
試作品は完成しても売れなければしかたない。
欧州のEVメーカーを担当する営業部門の本名は、カジ 旅 出 金 条件部門に対して抜本的なコスト改善を求めていた。チップ構造を大幅に見直すなどしてEVメーカーに見積書を出した。しかし、断られる毎日が続いていた。
そして2023年12月上旬、本名のもとに6回目の見積書に対する返事が届いた。慌てて開封したメールに“competitive”(競争力がある)の文字が見えた。
「ようやく良い手ごたえをつかめました。コスト面でも他社と張り合える状況になりましたね」
シームレスカジ 旅 出 金 条件と
商流変化を生み出した
期間が限られたカジ 旅 出 金 条件は働き方にも変化を起こした。齊藤はこう言う。
「途切れのないカジ 旅 出 金 条件をするため、仕事内容や進捗具合、ノウハウを他のメンバーと積極的に共有することにしました。他のメンバーから問題解決のヒントを得られたこともありました」
従来のガソリン車製造は生産ピラミッドがあり、階層を飛び越えてメーカーと交渉することは考えられなかった。だが本名はこう話す。
「SiCカジ 旅 出 金 条件半導体のチップは、完成車メーカーが半導体メーカーを指定することが多いので、富士電機が完成車メーカーと直接やりとりすることができるようになりました。まだまだ販路拡大のチャンスがあります」
入社当初からSiCカジ 旅 出 金 条件にあたってきた小島は感慨深げにこう話した。
「SiCが注目されたのはこの6〜7年です。自分の研究にやりがいをもって続けていれば、時代の最先端になることもあるんですね」
富士電機は2026年度にSiCカジ 旅 出 金 条件半導体の生産能力を2022年度の50倍に高める計画だ。