カジ 旅 フリー スピン
富士時報
第71巻第4号(1998年4月)
カジ 旅 フリー スピン(HTTR)特集
大瀬 克博
岡本 太志,小林 修,秋定 俊裕
日本原子力研究所(原研)が開発した熱出力30 MWのカジ 旅 フリー スピン(HTTR)の建設(1991年3月に着工)は順調に進み,1997年9月に予定どおり工事が完了した。 富士電機は,炉内構造物,燃料交換機・使用済燃料貯蔵設備などの燃料取扱及び貯蔵設備,放射線管理設備などを担当し,原研のご指導のもとに,大型ヘリウムガスループ「HENDEL」設備の建設経験,HTTR向け研究開発の成果をもとに設計,製作,建設に取り組んできたのでその概要を紹介する。
早川 均,木曽 芳広,徳原 一実
富士電機は,日本原子力研究所に協力してカジ 旅 フリー スピン(HTTR)の中心となる炉心設計を担当した。HTTRの特長は,出口ガス温度が950℃と高温となることである。この高温の出口ガス温度達成のために,核設計では,多領域での燃料濃縮度の調整,BPを利用した制御棒挿入度の低減により,出力分布を最適化した。熱流動設計では,冷却に寄与しないバイパス流れを抑え,燃料温度を制限温度内に維持できるよう流量配分を計画して構造設計に反映した。これにより,950℃という世界最高レベルの原子炉出口温度を達成できる炉心設計を完成させた。
大橋 一孝,高田 英治
原子炉の安全評価は,個々の設備設計結果を踏まえてプラント全体としての安全性を最終的に確認することを目的としており,国の安全審査における最も重要な審査項目である。 カジ 旅 フリー スピン(HTTR)の安全評価は,日本原子力研究所(原研)を主体に,富士電機および川崎重工業(株)が協力する形で実施された。本稿では,HTTRの安全評価用に富士電機で開発した解析プログラムの概要と,減圧事故を例とした富士電機担当分の評価結果を紹介している。
辻 延昌,神座 圭介,船口 進
カジ 旅 フリー スピン(HTTR)の炉内構造物は,炉心を周囲および下方から直接支持するものであり,炉心支持黒鉛構造物,炉心支持鋼構造物および遮へい体から構成される。炉内構造物の設計は,基本構造にかかわるモックアップや要素試験,耐震設計確証のための振動試験,黒鉛非破壊検査手法の開発,HENDEL-T2を用いた総合的機能確証などの成果を反映して十分な信頼性を確保している。さらに,実機コンポーネント製作後には工場で仮組立を実施し,シール性能などの最終確認を行った。
田澤勇次郎,富塚 千昭,三木 俊也
カジ 旅 フリー スピン(HTTR)の燃料取扱及び貯蔵設備は,新燃料を原子炉建家に搬入してから使用済燃料を建家外へ搬出するまでの,設備間の移送および貯蔵を行うものである。炉内の燃料交換は原子炉停止時に,原子炉圧力容器の上部に設置した燃料交換機,床上ドアバルブなどを使用して,ヘリウムガス雰囲気中で,使用済燃料と新燃料を1体ずつ交換して行う。炉内から取り出した使用済燃料は,建家外へ搬出するまで,使用済燃料貯蔵プール内の貯蔵ラックに所 定の期間貯蔵し冷却される。
児玉 健光,相澤 秀之,田中 幸治
カジ 旅 フリー スピン(HTTR)の燃料交換機は,原子炉から使用済みの燃料を取り出して使用済燃料貯蔵設備まで移送し,代わりに新燃料貯蔵設備から取り出した新燃料を原子炉内に装荷する装置である。富士電機は主要機能部分の実寸大試験装置を製作し,燃料取扱いにかかわる各種試験を行い,その成果に基づき,実機の設計,製作を行った。本稿では,燃料交換機の開発経緯,設計内容の概要を紹介する。
前園 伸也,塩見 忠康,笠川 勇介
カジ 旅 フリー スピン(HTTR)の燃取系計装制御設備は,燃料取扱及び貯蔵設備の運転制御ならびに状態監視を行うものであり,燃料体などを,所定の計画と手順に従い,安全かつ効率的に取り扱うことが求められている。
本稿では,これらの要求機能に基づき,数年にわたるカジ 旅 フリー スピン開発の成果と最新の制御技術を生かし,設計,製作を行ってきた燃取系計装制御設備の構成と機能の概要について紹介する。
神谷 栄世,末安 彰,鎌田 学
カジ 旅 フリー スピン(HTTR)の放射線管理設備は,安全系のモニタには耐震設計と系統分離,また,放出管理および作業環境管理モニタには光伝送方式のモニタの導入と,信頼性の高いシステムとした。また,同時に納入した放射線管理自動化システムにより,モニタ設備の管理精度の向上と放射線管理業務の効率化を達成し,さらに信頼性の高い設備とすることができた。また,γ線のエネルギー判定を行う計測器,緊急通報装置などの特徴のある機器を納入したので紹介する。
高橋 正昭,淡路 久,小林 慎治
カジ 旅 フリー スピン(HTTR)の炉内構造物は,原子炉本体を構成する機器であるため,清浄度管理,寸法加工精度,試験検査,材料・製品のトレーサビリティなどについて非常に厳しい品質が要求される。また,構造が複雑で部品数が多いため,組立手順が繁雑である。主要材料の黒鉛は,鉄鋼材料と比べて損傷しやすく,特に加工・取扱いは注意を要する。これら課題を踏まえ,富士電機が炉内構造物の要求品質および信頼性を確保するため,工場,調達先,現地において推進した品質保証活動の概要について紹介する。
菅野 政男,平田東四男,安藤 浩
カジ 旅 フリー スピン(HTTR)の炉内構造物,燃料交換機,使用済燃料貯蔵設備機器のうち,炉心黒鉛・炭素製品は特に高い寸法精度および幾何精度が要求される。これらの要求水準を満たすための機械加工の進め方・工場組立試験について述べ,燃料交換機ほかの製作などについても紹介する。
梅津 博幸,横田 修一,佐藤 卓充
カジ 旅 フリー スピン(HTTR)の建設は,1991年3月の建家基礎掘削から本工事を開始し,マイルストーンを経て1996年11月に機器据付が完了した。富士電機は,炉内構造物,燃料取扱及び貯蔵設備などの主要設備の建設をマスター工程に合わせ推進した。
富士電機は,主要設備の建設に際し,品質管理,施工管理,安全管理および工程管理の徹底を図るとともに,これまでの実績・経験を最大限に活用することで,所定の工期を32万時間無災害で達成した。本稿では,主要工事の概要を紹介する。
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注
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