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カジ 旅 フリー スピン 開発ストーリー
究極の次世代エネルギー「グリーン水素」AEM水電解の開発最前線を追う


次世代エネルギーとして水素に注目が集まっている。中でも、再生可能エネルギー(再エネ)由来の電力を使用し、製造過程でCO2を出さない「グリーン水素」は脱炭素を進める期待のエネルギーだ。ただ、グリーン水素を生産し、水素エネルギーを広く活用するには克服すべき課題が山積している。そうした課題を解決するため、富士電機は今、新たな水素製造方式の技術開発を進めている。
それが、「AEM水カジ 旅 フリー スピン」だ。
どんな課題を解決する水素製造方式なのか。開発チームの3人に話を聞いた。

低コストを実現する新技術

水素は、水に電気を通して水素と酸素に分解(水カジ 旅 フリー スピン)して取り出す。カジ 旅 フリー スピン質膜の種類でカジ 旅 フリー スピン方式が異なり、従来の水カジ 旅 フリー スピンはPEM(注1)水カジ 旅 フリー スピンで、富士電機が研究開発している新方式はAEM(注2)水カジ 旅 フリー スピンと呼ばれる。

(注1)

PEM:Proton Exchange Membrane=プロトン交換膜

(注2)

AEM:Anion Exchange Membrane=アニオン交換膜


PEM水カジ 旅 フリー スピンは、電極の触媒にイリジウムなどの高価な金属を使う必要があるが、AEM水カジ 旅 フリー スピンの触媒はニッケルなど安価な金属で済む。このため、PEM水カジ 旅 フリー スピンに比べてコストを抑えられるうえ、触媒の金属が調達しやすいことから資源戦略上もメリットがあるが、一方で耐久性などに問題があり、開発するメーカーが少ないのが実情だった。

身近な場所で水素を活用して脱炭素

AEM水カジ 旅 フリー スピン装置を開発する意義について、チームリーダーの平方はこう話す。

先端材料研究部でカジ 旅 フリー スピン
先端材料研究部でチームリーダーの平方


「富士電機は、燃料電池や水カジ 旅 フリー スピンの電源役を担う整流器など、水素活用に関わる多くの製品を持っていますが、水カジ 旅 フリー スピン装置はまだ製品化されていない“最後のワンピース”でした。水カジ 旅 フリー スピンは水素製造の中で最も重要な部分です。AEM水カジ 旅 フリー スピン装置を製品化できれば、グリーン水素を活用する製品をワンセットでお客様に提供できるようになります」

水素は、再エネ由来の電力を安価に供給できる地域で、大量に製造することで低コスト化が期待できるため、水カジ 旅 フリー スピン装置を大型化させる流れもある。その場合、水素を需要地に向けて輸送する必要があり、インフラの整備等が必要であることが課題であった。そこで、富士電機では中小規模システムの開発を進めている。工場や事業所などの身近に、低コストな中小規模システムを設置してもらい、その場で水素を使う“地産地消”を可能にするのが狙いだ。これにより、私たちの生活の身近な場所でも水素活用による脱炭素を進められるという効果を見込める。

暮らしの身近な場所で水素を地産地消し脱炭素を進める

「AEM水カジ 旅 フリー スピンは水素の低コスト化に貢献できる!」

富士電機のチームは、燃料電池で培った技術を起点に開発を始めた。後押ししたのは、燃料電池の研究で国内をリードする大学などで「カジ 旅 フリー スピン質膜や電極触媒」といった重要部材の技術開発が進んだことだった。これら部材の開発は、産学官や産産連携といったオープンイノベーションを活用している。富士電機は最新のカジ 旅 フリー スピン質膜や電極触媒を搭載した水カジ 旅 フリー スピン槽の試作を進め、部材としての課題を大学、企業へフィードバックして特性改善に向けた取り組みを推進しつつ、高効率で安全な水カジ 旅 フリー スピンをさせるための技術を開発している。

チームリーダーである平方は、学生時代に燃料電池を研究していた。今年で入社11年目。水カジ 旅 フリー スピンは燃料電池と共通する技術も多く、大学時代の知見を活かして、チームを引っ張る。「会社としてこの先もAEM水カジ 旅 フリー スピンに会社のリソースを投資する価値があるかどうか見極めるのも私たちの仕事でした。ようやく投資価値があるとわかってきました」と話す。

AEM水カジ 旅 フリー スピン装置の試作品(電極面積25cm2のミニモデル)
AEM水カジ 旅 フリー スピン装置の試作品(電極面積25cm2のミニモデル)

「最終製品が見えるのでやりがいがある」

キャリア採用で入社した佐藤は、技術課題のひとつにカジ 旅 フリー スピン液と触媒を効率よく反応させるセル(注)構造の構築を挙げた。「カジ 旅 フリー スピン液をセル全体に均一に流すためにはどのような構造が必要なのか、などまだまだ解明しないといけない課題がたくさんあります。さらに、カジ 旅 フリー スピン質膜や触媒の性能は日進月歩なので、こちらもそれに対応していかなくてはいけません」と語る。

(注)

セル:水カジ 旅 フリー スピン装置の基本的な反応ユニット

チームメンバーの佐藤
チームメンバーの佐藤

それでも佐藤は「最終製品がお客様にどう使われ、どう役立つのかわかるので、やりがいのある開発です」と話す。

可能になりつつある現実的な評価

新技術であるAEM水カジ 旅 フリー スピンは、まだ水素と酸素の反応効率や寿命などの標準的な評価方法が確立されていない。入社2年目の渡来は、技術開発の傍ら、どんな条件下で評価したらいいかを考える役割を担う。

「水カジ 旅 フリー スピンセルの劣化メカニズムもまだ不明な点が多くあります。現在は、実験結果から具体的にどういう劣化が起きているかを明確にし、そこから実施すべき検討項目を抽出、実行することに注力しています」

チームメンバーの渡来
チームメンバーの渡来

長寿命化と反応効率アップへの挑戦

セル開発と並んで技術課題なのが、装置の長寿命化とカジ 旅 フリー スピン効率の向上だ。チームは産学連携による共同研究の結果、最新のカジ 旅 フリー スピン質膜と触媒を搭載した、当社設計のラボレベルサイズの水カジ 旅 フリー スピン槽で、既に市販化されているPEM水カジ 旅 フリー スピンと同等レベルのカジ 旅 フリー スピン効率を達成した。
一方、AEM水カジ 旅 フリー スピンはまだ新技術であるため、カジ 旅 フリー スピン質膜や触媒、水カジ 旅 フリー スピン槽の構造が、反応効率や寿命に影響するメカニズムが明らかになっていない。製品の信頼性確保に向けては、特に長寿命化が重要であり、劣化メカニズムを明確にした上で、寿命を検証する手法を確立していく必要がある。


平方は「製品向けには徐々に水カジ 旅 フリー スピン槽のサイズを大きくしていく必要がありますが、大きくすれば反応に使用されない箇所ができることで、効率が低下したり、寿命が短くなる可能性があります。しっかり検証を重ねて進めないといけません」と話す。

試行錯誤を繰り返しチームは開発を進める


このため3人は、評価装置が整っている共同研究先の大学に交代で通っている。

「反応の特性や長寿命の評価をするには、水カジ 旅 フリー スピンを連続して行う必要があります。だから3人が連携し、2泊3日ぐらいの交代制で通い詰めているんです」(渡来)

各メンバーが自立し2030年上市を目指す

技術開発がうまくいくだけでは、製品化には至らない。現在、技術開発と並行して、マーケティングを担当する部署と協議を重ねて製品の仕様づくりも進めている。

新しい技術を追いかけるプロジェクトは研究者の自由な発想が欠かせない。

自由な議論ができる職場づくりを目指してきた平方は「2人にはどんどん新しい提案をしてもらっています。今は自分の知識をメンバーに還元し、発展させてもらうことが仕事です。各メンバーが独立したサブテーマを持って自立して進める体制ができたことが、一番の成果だと感じます」と語る。佐藤は「世界的にも新しい技術なので日々が学びです。課題を達成できたとき、自身の成長を実感できるのが喜びです」と話す。

(左)佐藤、(中)渡来、(右)平方
3人に学生に伝えたいことを書いてもらった。
平方(右)は「勉強」と書き、「入社後も大学の時と同じで勉強の連続です。今は水カジ 旅 フリー スピンだけでなくチームリーダーとしても勉強中です」と話す。「個性」と書いた渡来(中)は「自分の個性を生かせる会社として富士電機を選びました」。佐藤(左)は「多種多様な知見を深く広める」。研究開発は基礎からコツコツと地道に積み重ねるのが一番の近道だと、このプロジェクトで悟ったという

究極の次世代エネルギー「グリーン水素」をつくる技術は、コストを抑えて水素の地産地消を実現し、脱炭素を急速に進める切り札となる。開発は途上だが、遠い先にゴールは見えてきた。2030年に上市することを視野に入れ、平方らのチームはAEM水カジ 旅 フリー スピン装置の開発を続けている。